カラーコラム 14 |
静岡県の地層(1) 掛川層群の火山灰層 柴 正博 火山灰は火山が噴火したときに上空に吹き上げられた細かな火山砕屑物で、落下して陸地や海底に堆積したものです。一回の火山噴火で噴出した溶岩や火山砕屑物はすべて同じ成分で、別の噴火活動の噴出物とは区別できます。したがって、同じ火山灰層が離れた場所で発見されると、それをはさむ地層は同じ時代に堆積したことがわかります。掛川層群のように砂層や泥層などの同じような岩相の地層では、地層の順番がわかりにくいために、他と区別できる火山灰層が連続することは地層の上下を知るのに役立ち、「鍵層」と呼ばれます。 五百斎火山灰層のように厚い火山灰層を堆積させたような火山噴火が起こったとすると、陸地のすべてが厚い火山灰層に埋まって、植生が絶え山地が荒廃して大規模な山地崩壊や大洪水が起こったと考えられます。五百斎火山灰層の上部の粗い火山灰層は地すべり堆積層と考えられ、その上位に連続する粗い砂の地層とあわせ、大量降灰とそれにひきつづく大洪水の結果を記録していると思われます。 右は、東名高速掛川インターの西側の造成地の露頭の写真で、3層の厚さの薄い火山灰層が見られました。私たちが調べた結果、掛川層群には150層以上の火山灰層がはさまれているのがわかりましたが、地層が見られる露頭が残されていないために、発見された火山灰層のほとんどは現在見ることができません。火山灰層は地層の鍵となる重要なものであるため、その露頭または標本の保存も今後課題となると思われます。 |
自然史しずおか第14号の目次 自然史しずおかのindexにもどる Homeにもどる 登録日:2007年9月20日 NPO 静岡県自然史博物館ネットワーク spmnh.jp Network for Shizuoka Prefecture Museum of Natural History |